虎穴に入らずんば◯◯を得ず

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真っ暗な夜、山中をさまよっていた猟師の男が穴に落ちた。
そこは虎の穴だったらしく、中では子猫のような鳴き声が聞こえる。どうも虎の子供たちがお腹を空かして親虎の帰りを待っているようだ。
男が穴から見える夜空を呆然と眺めていると、穴の中で他に動物の気配を感じる。白兎だ。この兎は人間の言葉が話せるようで男に言った。
「私を肩車してください。そうしたら、私が穴から脱出して助けを呼びに仲間のところへ行きます」
男は九死に一生を得ようと、白兎を肩にのせると立ち上がった。すると、白兎がピョンピョンと飛び跳ねて見事に穴から出て行った。
男が白兎を信じて穴の中で待っていると、兎の群れがやって来て草で編んだ太いロープを穴に垂らした。男は親虎が戻ってくる前に、そのロープで穴から無事出られた。
白兎は男に「あなたの肩車のおかげで私も助かった。来年は卯年です。あなたへの感謝を込めて飛躍の一年になるようにしましょう」
その他
公開:22/12/30 13:39

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