無理のしどころ

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おれは高校三年生で野球部員のピッチャーだ。甲子園に行くまでに、あと一勝という所までこぎつけた。
しかしおれの肩はもう限界で、決勝戦で投げると再起不能になるかもしれないと医師に言われた。監督からも自重するように言われたが、おれは志願して投げた。
だが無理をしたせいか本来のピッチングができず、チームは負けてしまった。おれはプロに入れた逸材と言われていたがそれも無くなった。
しかしチームメイトや監督は、身を犠牲にしてまで投げたおれの姿勢に感動してくれて誰もおれを責めることはせず、涙を流し讃えてくれた。
おれの意志で投げたのだ。監督やチームメイトは何も悪くないと批判の声を封じた。
ある企業の幹部もエピソードを聞いたみたいで、きみのような周りの人のことを思いやる自己犠牲の心がある若者は今どき珍しい。ぜひウチで働いてくれと言われたのでそうさせてもらった。
プロに入っても再就職に悩むのでこれでよかった。
青春
公開:22/12/29 23:03

ぴろわんこ

少し変わった、ブラックな話が好きです。

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