6
4

先生の前に、真っ白な僕のノートが開かれている。

「どうして宿題をしてこなかったの…?」

怒るというよりも、むしろ心配そうに先生は尋ねた。
僕は、三日連続で真っ白な状態のノートを提出している。優等生タイプの僕が急にこんな事をし始めたのだから、先生が心配するのも無理はないだろう。

「先生、ノートをよく見てください。」

先生は疑問の表情を浮かべながらノートに顔を近づけ、まじまじとみてからハッとした。

「あっ!何かを消した跡がある!…この数式と答えは、昨日の宿題の!どうして消してしまったの?」

「最近ダンゴムシを飼い始めたんですが、その中の1匹が新種かもしれないんです。見た目はダンゴムシとほぼ同じだけど、転がって通った場所の汚れや染みを綺麗に消してしまうんです。僕はケシゴムシって呼んでいるんですけど、困ったことに悪戯好きで、目を離すとノートの上を転がって宿題を消してしまうんですよ。」
その他
公開:23/07/07 21:50

ネモフィラ(花笑みの旅人)( 気の向くまま )

読んでくれてありがとう!

寒い季節になったから、気が向いた時にふらりと立ち寄ってゆるーく投稿しています。

少し早いですが、よいお年を!

 

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容