けしごむし

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先生の前に、真っ白な僕のノートが開かれている。

「どうして宿題をしてこなかったの…?」

怒るというよりも、むしろ心配そうに先生は尋ねた。
僕は、三日連続で真っ白な状態のノートを提出している。優等生タイプの僕が急にこんな事をし始めたのだから、先生が心配するのも無理はないだろう。

「先生、ノートをよく見てください。」

先生は疑問の表情を浮かべながらノートに顔を近づけ、まじまじとみてからハッとした。

「あっ!何かを消した跡がある!…この数式と答えは、昨日の宿題の!どうして消してしまったの?」

「最近ダンゴムシを飼い始めたんですが、その中の1匹が新種かもしれないんです。見た目はダンゴムシとほぼ同じだけど、転がって通った場所の汚れや染みを綺麗に消してしまうんです。僕はケシゴムシって呼んでいるんですけど、困ったことに悪戯好きで、目を離すとノートの上を転がって宿題を消してしまうんですよ。」
その他
公開:23/07/07 21:50

花笑みの旅人( 気の向くまま )

ページを開いてくださり、ありがとうございました!

※6月12日〜6月末まで、色々と鍛える為に毎日投稿にチャレンジ中で〜す(⁠◔⁠‿⁠◔⁠))
若干カーブミラーに取り憑かれた人みたいになっていますが、概ねその認識で間違いはない

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