願いを乗せて

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「ねぇねぇお母さん」
「どうしたの?」
息子は服の裾を引っ張りながら空を見上げていた。
「どうして七夕にお願い事をするの?」
空では天の川がキラキラと輝いていた。
「それは織姫様と彦星様が願い事を叶えてくれるからよ」
「ふーん。でもどうやって織姫様と彦星様は短冊の願い事を見るの?」
「そうねぇ、じゃあちょっと見てなさい」
私は笹の葉を一枚千切って掌の短冊にそっと重ねた。すると笹の葉は短冊に染み込んでいくようにスッと消えてなくなった。
「え?どうして?」
そして短冊はフワッと浮かび上がり天の川目掛けて一直線に飛んでいった。
息子の目はずっと飛んでいった短冊を追っていた。
「こうやって願い事は織姫様と彦星様に送られているのよ。笹の葉には不思議な力があるんだから。って貴方」
気がつくと息子は笹の葉を自分の胸元に押し当てていた。
「笹の葉と短冊じゃないとダメなのよ」
息子は残念そうに肩を落とした。
ファンタジー
公開:23/07/07 12:09

リマウチ

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