相撲の国を旅してきた話

カク海に囲まれた島・リョウ国。
私はこの国のスモウ区を毎年訪れている。目的はここでしか獲れないスモウ区サーモン。
こいつは普通の鮭と一味も二味も違っていてね。悪魔的（デーモン）な美味さである。
それに鮭を獲っているのは熊だ。鵜飼ならぬ熊飼が見られるのは世界広しといえどもここだけだろう。
白星熊が黒星熊にならぬよう真剣勝負。川に塩をまいては鮭の旨味を上げると同時に、海ならではの力強さも引き出す。
熊が鮭に負ける事なんてあるのかって？
あるよ。私は熊から奪ったまわしの数々を、まるで化粧まわしのように身にまとった荒巻鮭が熊を川の向こうに押し出しては、鮭が熊のつけているまわしを奪っていく姿を何度も見た。
あの大きさはマグロなんじゃないか？横ツナではないか？とも噂されている。
真実は食べてみないと分からない。だからこそ、毎年ここを訪れている。
そして毎年、鮭と相撲をとる木彫りの熊の像を買ってしまう。