愛情スパイス
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料理の隠し味はいつだって愛情だ。
ハートの形をした岩塩の塊のようなものを取り出し、削って、作った料理に振りかける。
愛情たっぷり、いつものご飯だって、特別になる。
「今日もいっぱい食べて頑張るのよ!愛情たっぷりだからね!」
「うん」
ある日、テレビでどっかの大学の教授が『愛情の過剰摂取を避けるように』なんて言っていた。
『本人は愛情を注いでいるつもりでも、それが相手には重荷になっており……事実、愛情が現実に摂取されるようになってから、自殺や自殺未遂が後を絶たず……』
「馬鹿らしい」
そう呟いてテレビを消す。大好きな人に、子供に、愛情を注ぐことの何が悪いというのか。
私は今日も沢山の愛情を振りかける。
「さあ!今日もこれを食べて、勉強頑張るのよ!良い大学に行けるようにね!あとピアノもしっかり練習してね!!」
「……うん……」
濃い桃色の愛情が、鈍く光を放っていた。
ハートの形をした岩塩の塊のようなものを取り出し、削って、作った料理に振りかける。
愛情たっぷり、いつものご飯だって、特別になる。
「今日もいっぱい食べて頑張るのよ!愛情たっぷりだからね!」
「うん」
ある日、テレビでどっかの大学の教授が『愛情の過剰摂取を避けるように』なんて言っていた。
『本人は愛情を注いでいるつもりでも、それが相手には重荷になっており……事実、愛情が現実に摂取されるようになってから、自殺や自殺未遂が後を絶たず……』
「馬鹿らしい」
そう呟いてテレビを消す。大好きな人に、子供に、愛情を注ぐことの何が悪いというのか。
私は今日も沢山の愛情を振りかける。
「さあ!今日もこれを食べて、勉強頑張るのよ!良い大学に行けるようにね!あとピアノもしっかり練習してね!!」
「……うん……」
濃い桃色の愛情が、鈍く光を放っていた。
その他
公開:23/07/05 07:45
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