ブラックコーヒー

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ブラックコーヒーが飲めなかった。苦手だった。
甘いジュースやお菓子が大好きで、毎日それだけでもいいと思っていた。
お母さんもお父さんも、おじいちゃんもおばあちゃんも、私に甘いものをたくさんくれた。



いつの間にか、ブラックコーヒーが飲めるようになっていた。
甘いジュースやお菓子を食べる頻度が減って、でも、別に何とも思わなかった。
だって、それは私が大人になった証拠だ。

「また同じところミスして!何度言えばわかるの!」

『申し訳ございません…手は尽くしたのですが…』

「やる気あるの?」

ほら、もう誰も私に甘いものなんてくれやしない。
けれど構わない。
だって、私は大人になったのだから。

今の私は、苦いものを飲み込めるようになったのだから。
その他
公開:23/07/11 07:33

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