ささやく

最近の絆創膏は凄く進化している。
傷口に貼ると、怪我の治り具合を教えてくれるのだ。これに親は大助かり。
やんちゃな息子は絆創膏を剥がしたがる。かさぶたを作っては、それを剥がしたがる。
だがこの絆創膏はそんな息子に『もう剥がしちゃうの？まだ怪我治ってないよ？私、泣いちゃうよ？』と囁く。
絆創膏の『泣いちゃう』とは、血が流れてしまうという意味。
息子も悲しそうに囁く絆創膏に対し、「もうちょっとだけだからね」と答える。
痛みを訴える傷口に代わり絆創膏が、『ありがとう』と返すと息子ははにかみ、絆創膏を守る生活を始めた。
だが、傷が治るとそんな絆創膏ともお別れだ。
あれだけ剥がしたがっていた絆創膏との別れを惜しむ息子。
絆創膏が『ばいばい』と囁くと、息子も「ばいばい」と返す。
とても感動的だ。

その５分後。息子は転んで膝を擦りむいた。
傷口に絆創膏を貼ると『またなの！？』と大きな声を上げられた。