大国の誇りと悲哀

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わが祖国はかつては東の大国として津々浦々にその名をとどろかせていたが、残念ながら今では過去の栄光は見る影もない。文明開化の波に乗り遅れたと言えばそれまでだが、昨今は落ちぶれた未開国のようなレッテルすら貼られる始末だ。実際、田んぼやネギ畑が広がる田舎臭い風土をあれこれ茶化す輩は枚挙にいとまがない。祖国を愛する者としては胸が痛むばかりだ。どうしてこんな国辱に耐え忍びながら日々生きていかねばならないのか。元を正せば、国が三つに分割されていなければこんなことにはならなかったはずだ。強国ゆえの宿命と言うべきか、国が豊かで大きいほど時の権力者に目の上のたんこぶのように睨まれるもの。政変により抱えていた政治機能と域内最大の国際港を割譲された祖国は”サイタマ”と名付けられ、農村地帯だけが残された。ご存知の通りなくなく手放したのは歴史的には江戸、横浜と呼ばれていた土地だ。嗚呼、武蔵国。わが祖国よ、永遠に。
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公開:23/07/10 14:07
更新:23/07/10 14:20

アカサカ・タカシ( Chicago )

2022年から米国シカゴ在住。

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