映画館と猫その1
0
1
映画館に猫がいた。まるで人間のようにチョコンと座っている。
ぼくと目が合うと、猫はまるで何かをごまかすかのように顔を洗い始めた。
館内は暗くなり、映画が始まった。猫の目はスクリーンにくぎ付けとなり、観客が驚くシーンでは小さく「ニャッ」と鳴き、感動するシーンでは「ミャー」と鳴いた。
どこからどう見ても、映画を鑑賞する人間のようだった。
映画が終わった。猫の尻尾はピンと伸びていた。
いまにも「予は満足じゃ」とでも言いだしそうな表情をしている。
猫が観客に交じって立ち去ろうとしたとき、スタッフが猫を持ち上げた。
「無銭鑑賞は困ります」
そう言って、猫を叱り始めた。猫は困った顔をして、ぼくのことを見つめてくる。
いや、飼い主に言えよ。ぼくはそう目で訴えると、そそくさと立ち去った。
ぼくと目が合うと、猫はまるで何かをごまかすかのように顔を洗い始めた。
館内は暗くなり、映画が始まった。猫の目はスクリーンにくぎ付けとなり、観客が驚くシーンでは小さく「ニャッ」と鳴き、感動するシーンでは「ミャー」と鳴いた。
どこからどう見ても、映画を鑑賞する人間のようだった。
映画が終わった。猫の尻尾はピンと伸びていた。
いまにも「予は満足じゃ」とでも言いだしそうな表情をしている。
猫が観客に交じって立ち去ろうとしたとき、スタッフが猫を持ち上げた。
「無銭鑑賞は困ります」
そう言って、猫を叱り始めた。猫は困った顔をして、ぼくのことを見つめてくる。
いや、飼い主に言えよ。ぼくはそう目で訴えると、そそくさと立ち去った。
ファンタジー
公開:23/06/28 09:09
コメントはありません
ログインするとコメントを投稿できます