ささやく

机に突っ伏し、居眠りをする友人の首元にキスマークを見つけた。
私は周囲に誰もいない事を確認するとキスマークに囁く。
「隠れないと見つかっちゃいますよ」
するとキスマークは照れたように赤くなる。
『すみません…失礼します…』
徐々に薄くなって消えていく。

「…ん？なに？どうかした？」
目を覚ました友人に「何でもないよ」と答える。
だが友人は私の視線で気づいたようだ。
ため息を吐くと鏡で首筋を確認する。
「良かった…キスマーク、ちゃんと消えてる」
ホッとする友人。
「それ、私の前で言うのどうかしてると思うよ」
「何言ってんの。これ付けたのあんたじゃない」
思わず首を傾げる。そのキスマークが私のもの？どういう事？
私と友人は友人関係であって決してそういう関係では…と、混乱する私の耳に友人がそっと囁く。
「あんた、お酒飲んだらキス魔になるの、自覚しなさい」
あのキスマーク、私と声が同じなわけだ…