麒麟を見た

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俺は神なんて信じていない。神話なんて人間の作った物語だし、神社に至っては金儲けの為のアミューズメントパークとすら思っている。
そんな俺がいうのだから信じて欲しい。俺は幻獣に助けられた。
雪山で遭難する前の俺ならなんて馬鹿馬鹿しいんだと言って笑い飛ばしていただろう。しかし本当なんだ。
真っ白な毛並みの馬のような物が倒れた俺を見下ろしていたんだ。たしかに吹雪いていた。しかし蜃気楼なんかじゃないんだ。しっかりと背中に乗った時に温かみを感じた。いや、正確には背中に投げられたってのが正しいんだけどそんなことはどうでもいい。
きっとあれが麒麟ってやつなんだろうか。ビールに載っているあんな不細工なのじゃなかった。美しさしか感じなかったよ。そうなると伝承っていうのはやっぱり人間が適当に作ったんだなって思ってしまう。まあいい。とりあえず俺はもうこの雪山に登るのは辞めるよ。そこまで強欲な恩知らずじゃないから。
公開:23/07/02 22:58

リマウチ

超ショートショート書いていきます

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