水蓮

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あの花は、「スイレン」と言っても「睡蓮」ではなくて「水蓮」よ。
雨量が多くなる梅雨の季節などに池や湖沼でよく見かけるの。
パリにあるオランジュリー美術館に、印象派の画家であるモネが最晩年に描いた、パノラマのような睡蓮の絵画が展示されているけれど、そこにも水蓮が描かれていることは、あまり知られていないの。
それもそのはず、水蓮は、その名のとおり水のように透き通っているから、水面と同化していることが多くて見えづらい。だからモネが水蓮を描いていてもわかりにくいの。
水蓮は、鏡のように日光を反射して輝く。そのときに姿形の輪郭が睡蓮にそっくりでとても美しいの。きっと、モネも水蓮に魅了されたはずよ。
そして、雨が止んで太陽が出てくると、水蓮はきらきら光りながら七色に変わる。
そう、おわかりでしょ。水蓮に虹がかかったの。水蓮は「レインボーフラワー」とも呼ばれている。
今も、その瞬間を待っているところよ。
その他
公開:23/06/24 07:04
スイレン 睡蓮 梅雨 湖沼 パリ オランジュリー美術館 モネ パノラマ 絵画

SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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