優秀な後輩、霧島

霧島は優秀なプログラマーで、仕事を押し付けられる便利な後輩。
霧島の成果は俺のもの。ついでに霧島が考えた企画も俺のものにした。
その企画は社内で話題を呼び、俺は出世街道を駆け上がる。最高の気分だ。
霧島？ああ、俺に全てを奪われたせいか辞めてったよ。

１カ月後。プログラムに重大なエラーが見つかった。
俺にエラー修正なんて出来ない。霧島を呼び戻す為、社員名簿を確認する。辞めた者のデータも残っているはずだ。
…霧島のデータは見つからなかった。しかも誰も霧島を憶えていない。
霧島の成果は全部俺のものにした。だから当然、全ての仕事に霧島の名前はない。
まるで狐につままれたような気分で俺は責任を取らされ、会社をクビになった。
全てを失った俺は会社を出て、ある事に気が付いた。
俺みたいなクズの隣には必ず、霧島がいる。
霧島達はまるで幽霊の如く憑りついては俺みたいな奴が破滅するのを楽しそうに眺めている。