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ひなびた街の海岸通りをぶらぶらしながら、何もすることがなく、久しぶりにふらりと愛人を訪ねてみるかと考えていると、ふらりとアロハシャツを着たタクシー運転手が、安く早く行きますよと、こちらの内心をみすかしたように笑いながら近づいてくるので、まあいいかとアロハシャツについてゆくことにして、ずんずんあるいてたどり着いたのは砂浜でもう波打ちぎわに近く、車はとみれば粗末な三輪車で東アジアのトゥクトゥクよりも簡素な構造でうしろの二輪のあいだに渡した板に小さな座席がひとつだけあって、その前に運転席とバイク用みたいなエンジンが前輪の横について屋根はない車をみていると、アロハシャツがさあどうぞと運転席に座ったところで、この三輪車に乗ってゆくのかと思うとゆううつになったけれど、タンクトップ姿の愛人が蒸し暑い午後にヒマをもてあましているだろうから、貧相な車で仕方ないかと後輪をまたいで小さな座席に腰をおろした。
その他
公開:23/06/21 09:25
2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。
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