ささやく

もうすぐテストなのに全然勉強をしていない。
『カンニング、しようぜ』
悪魔が囁いた。
『バレなきゃいいんだよ。絶対にバレないカンニングペーパー、今から作ろうぜ』
悪魔は尚も囁く。
確かにそうだ。バレなければいいんだ。
私は早速、カンペ作りに勤しんだ。
『これじゃダメだ。要点をまとめていないし無駄が多い。やり直し』
悪魔はカンペに厳しい。計算式に問題はないか？綴りに間違いはないか？細かくチェックする。
小さな紙に何度も何度も書き込む。何度も何度も悪魔からダメ出しを食らう。
そしてテスト当日にやっと完成したカンペを、私は家に忘れて来た。
こんなの、絶対赤点確定じゃん！
…と、思ったがテストは思った以上すらすらと解けた。えっ？何で？勉強なんてやってないのに？

『勉強ならしたじゃないか。カンペに向かって集中していただろ？』
テスト終了後。悪魔はカンペを私の目の前でひらひらさせるとニヤリと笑った。