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小学校からの長い帰り道。ちょっとした変化に気が付いた。
梅雨なのに、田んぼ付近を歩いていても、蛙の鳴き声がほとんど聞こえない。私は、蛙が一斉に鳴きだすと「そろそろ雨が降るのかも!」と予測し、急いで帰る目安にしていたので、この変化は少し残念だった。
ある日、寄り道して蛙を探すことにしてみた。もし蛙の数が減っているのだとしたら、すぐには見つからないだろうと心配していたが、杞憂だった。3匹の蛙が、私の様子を窺うように静かに見上げている。近づいてみると、蛙達は囁きあうようにケロケロと何か話しているのがわかった。
そこで、通じないとはわかりつつも、私は蛙達に向かって、

「なんでそんなに小さな声でお話しているの?」

と尋ねてみた。
すると、目を見開いて驚いていた3匹のうち、1匹が私の耳元に近づいて囁いた。

「最近は僕達が大きな声で話すと、ご近所様のご迷惑になってしまうらしいんですよ…。」
その他
公開:23/06/26 19:57

花笑みの旅人( 気の向くまま )

作品を開いてくださりありがとうございました〜

時々気まぐれに投稿するかもしれませんが、基本的には引き続きお休みです。

2025.5.8

 

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