空き家の税金対策

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大都会の高層マンションでひとり暮らしている男がいた。
「まったく困ったはなしだ。空き家の税金が上がるなんて」
男には家族はいないが、お金持ちだった。別荘を幾つも持っていて、気分で行ったり来たりしていた。 
 手放すのは惜しい。
男はひとり考えた。
「そうだ!マネキン人形だ!マネキン人形を別荘に置いて親族と言い張れば、役人もおかしな奴だと諦めるに違いない!」

狙い通り、役所からの税金の取り立ての電話は減った。
しかし、ある日の夕方頃。
「こちら市役所ですが」
「しつこいな!別荘は息子夫婦が暮らしているんだぞ!」
「実はですね、話し声が一日中うるさいと苦情が来てまして」
これには男も肝をつぶした。
「では、ご家族に宜しくお願いします」
男がなにか言う前に若い役人は電話をきった。
「いやぁ、課長のアイデア最高!あのジジイに一泡吹かせてやれましたよ!」
課長と呼ばれたマネキン人形は微笑んでいた。
ホラー
公開:23/06/24 22:47

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