私のドラゴン。優しいドラゴン。気弱なドラゴン。

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 村で迫害された私は逃げ込んだ山奥でドラゴンの子と出会った。死んだ巨大火竜の傍らで腹を空かせて泣く彼に、私は採ってきた果実を与えた。そうして私はドラゴンと一緒に暮らし始めたのだ。幸せな月日が流れた。

 村人達が山狩りを始めた。ドラゴンの存在は知られてないはずなのに。狙いは私だった。村のものである山の果実を盗んだ罪で処刑の裁きが下されたのだ。何を今さら。恐らくこれは彼らにとってただの娯楽なのだ。あえなく私は捕まった。


 全身を炎に包まれながら私は山を駆け登る。槍傷からは血が吹き出し意識は遠のく。それでも行かなくちゃ。あの子の元へ。

 ドラゴン。巨大に成長した私のドラゴン。
 お腹が減ったの? お食べ。今まで果実しか与えずにごめんね。本当はこっちの方が美味しいんだよ、とても。だから怯えずにお食べ。私のこの焼けた肉を。
 美味しい? もっと食べたかったら、麓にたくさん同じ肉があるからね。
ファンタジー
公開:23/06/16 12:50

真木真

上限400字。
普通に書く。文字数オーバー。削る。まだオーバーしてる。さらに削る。
そんな作業も楽しいです。
よろしくお願いします。

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