Ⅱ-27 芸術という爆発、創作という暴発

「寄るな！来るな！そして、読むな！」
　世界の真実を知ったことで得られた創作の力"DriP"。
　その力が悪用されることはほとんどないが、非常に悩まされてしまう者は少なくない。
　生と死、創作と破壊が渦まくハロウィンの夜。
　巨大な本が重なりできた塔の上で、決死の大立ち回りを見せている彼女も、その一人である。
　その本は全て、彼女が"創作"したもの。正確に言えば、彼女の頭から漏れ出たものといった方がいいだろう。望んだものだけでなく、ふと頭の中に湧きあがったものにも形を与えてしまうのが、ヒトが持つ不安定な"DriP"の効果であった。
　そんな暴発により創られたその本に中には、彼女が常日頃から頭の中で繰り広げていた美男子たちの夢空間の模様が、事細かに、濃密に書きおこされており、創造主である彼女本人ですらひいてしまう程の内容であった。
　命が悪あがく中、彼女の尊厳を懸けた戦いもまた続いていた。