思い出んでん虫

庭で見つけたカタツムリ。
右回りの渦巻き殻を見つめていると、ぐるぐるぐるぐる。目が回って走馬灯のように頭の中に思い出が蘇ってくる。
ママの料理を手伝って褒められた思い出。
パパと一緒に虫取りをした思い出。
過去を思い出して、頬が緩んでしまう。
そりゃ、時々思い出したくない思い出を蘇させられる事もあるけど、私はカタツムリの殻を見つめるのが大好きだ。誰にも教えていない、秘密のひと時である。
あと少し前に左回りの渦巻き殻のカタツムリを見つけた。それもじ～っと見つめていると、そこで見た思い出は私の記憶にない思い出だった。
思い出の中の私は今より少し成長していて、暗い顔をしていた。
何でだろう？と思っているとテレビに『世紀の大発見！過去と未来が見れるカタツムリを発見した少女！』と私が映し出され、あちこちでカタツムリの乱獲が起こり、絶滅危惧種になっていた。
だから私はこの事実を誰にも教えないと決めた。