お話の工作キット

0
2

「マスター、こんにちは」
「いらっしゃいませ」
「近頃“お話”について考えていてね」
「はい」

「前に、役に立つお話ってあるかな、と話したね」
「ええ」
「それは、飲み物・食べ物のように、買い続けてもらえるお話だと思う」

「それは、消費する、お話ですね」
「そう。でも悪い意味じゃなくて、いわば栄養物のような」
「飲食して、無くなるようにね。それはどんな仕組みのお話で?」

「うん。今まではお話には、なにか“オチ”が欲しいと思ってたんだ」
「ええ」
「でも、オチを読んだら安心して、それで終わりだね」
「ですね」

「でも、読む人が、オチを想像できるお話ならどうかな。それなら何度でも読んで楽しめる」
「なるほど。オチをそれぞれ考えられるお話ですね」
「そう。あえて、オチをつけないんだ」
「ふぅん。それって、お話の工作キットみたいですね」
「マスター、その言い方、楽しいね!」
その他
公開:23/06/18 21:12
喫茶店

tamaonion( 千葉 )

雑貨関連の仕事をしています。こだわりの生活雑貨、インテリア小物やおもしろステーショナリー、和めるガラクタなどが好きです。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容