雨芭蕉

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湿地をハイキングしていたら山岳ガイドが語り始めた。
「あの花は、水芭蕉に似ていますが、『雨芭蕉』という別の植物です。
雨芭蕉は、梅雨の季節に降水量が多いときにだけよく見られます。また、水芭蕉に混じって自生していることがあるので、見分けがつかないことも多いです。
江戸時代に俳人の松尾芭蕉が『五月雨を集めて早し最上川』という有名な句を詠みましたが、当時、最上川の辺り一面には、雨芭蕉の花が咲き乱れていたといいます。
雨芭蕉は、大地の恵みである雨を多く降らせる前ぶれとされる一方で、大量の雨によって洪水や土砂崩れなどを引き起こすことから、河川流域や山間部に住む人たちは、雨芭蕉を見かけると警戒するそうです。
現在、気象研究所と農業試験場が連携して雨芭蕉の生態を調べ、バイオテクノロジーを駆使して人工的に水耕栽培する実験を行っています。雨芭蕉を全国的に生育させることで、干害や水害対策に役立てるそうです」
その他
公開:23/06/17 07:01
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SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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