溢れる想い

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 片想いの苦しみ。彼への想いは募る。募る。ついに私の想いは溢れ出し、耳から零れ落ちた。床に広がる想いを雑巾で拭きながら私は思った。想いってこんな風に出せるものなんだ。
 想いの大きさを適量に保つコツを覚えた。増えてきたら頭を振って過剰な分を排出する。気持ちが楽になった。
 片想いの相手に最近笑顔が明るくなったねと言われた。全てがうまくいくようになり、私達はゴールインした。

 夫婦生活が続くうち、今度は私の中で夫への想いがカラカラに乾いていった。身勝手な夫の存在がうっとうしくて仕方がなくなる。夫に向ける言葉もきつくなる。暗い家庭。

 ふと思い出した。昔、頭から出した夫への想いをペットボトルに詰めて仕舞い込んでいたことを。それが大量にある。衝動的に引っ張り出し、頭の中に注ぎ込んでみた。夫への熱い想いが染み渡る。
 甘く接するようになると夫の態度も劇的に変わった。私は今、幸福のただ中にいる。
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公開:23/06/11 10:00

真木真

上限400字。
普通に書く。文字数オーバー。削る。まだオーバーしてる。さらに削る。
そんな作業も楽しいです。
よろしくお願いします。

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