幽霊の存在

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Y教授の遺言通り、私は真夜中の研究室を訪れた。

教授は幽霊の存在の実証に人生を捧げたが道半ばで病に倒れ
自身の死期を悟った時ゼミ生を集めた。
「最後の手段だが私がもし死んだら四十九日までの間、必ずこの研究室のこの自席に幽霊として留まる。ありとあらゆる手段で私を観測してほしい」
「縁起でもない。そんな形で立証したら死んでも死にきれませんよ」と私がいうと。それもそうかなと笑い、背もたれをギイと鳴らしもたれた。

録音、写真、動画撮影と色々と試すがこれといった結果は得られない。でも教授がそこに居る気がした。
一個人の気がする程度のレベルではオカルトの領域だ。
簡単に確証なんて得られるはずない。今日来た目的は別だ。
「教授。私が研究を引継ぎ何としてでも教授の姿を実証します。成仏せず手伝ってください。どのみち死んでも死にきれないようです」
そう言うと部屋を出た。

ギイ

と背中で聴いた。
ホラー
公開:23/06/10 14:42

吉田図工( 日本 )

まずは自分が楽しむこと。

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