岩を叩く男

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ある老人は、山道の曲がり角の座り込み、ひたすら岩を叩いていた。
「ほれ、この岩を叩くと、返事がくるのじゃ」
道行く人は老人の言葉に耳を傾け、岩の返事に耳を澄ますが、よく聞こえない。
「ほれほれ、よく聞いてごらんなさい」
老人はリズムよく叩く。すると、ときおりこだまのような音がする。普通の人は岩の向こう側に空洞があるだけだろうと思い、そのことを老人に伝えるが、老人は耳を貸さない。
老人にとって、岩を叩くことが生きがいなのだ。
しかし、この老人に目を止める人物が現れた。かれは名刺を出した。老人は小さな紙片を、不思議そうな顔をして受け取った。
伝説のドラマー誕生の瞬間である。
ファンタジー
公開:23/06/14 08:09

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