予感

近々、社内で大規模なリストラが行われるとの噂を耳にし、何か嫌な予感がした。
そのリストラ候補の筆頭がお世話になった先輩だと聞き、悪い予感は加速する。
案の定、それは的中してしまった…私もまた、リストラ候補に名前が挙がっているらしい。うう…真面目に仕事をして、落ち度なんて何もない筈なのに…

「リストラ？違う違う。今度、会社が新しい事業部を立ち上げるから、その引き抜きの話だよ」
笑って話す先輩はその事業部の統括に指名されたらしい。
「君のマメな仕事っぷりは新しい事業の土台の支えに必要だと確信している。だから頼む！ついてきてくれ！」
頭を下げる先輩に、私は首を横に振る。
今の計画だと確実に失敗する。私の予感がそう告げる。
私の仕事はマメではなく真面目。まずは地に足のついた事業計画を練ってからでないとその話には頷けない。
それに悪い予感というものはストーカーみたく、しつこくついてまわるからね。