お飾り甘栗

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ある村の祠に、水晶と、お飾り甘栗が祀られていた。
村は独自の文化を維持してきたまま生き延びてきた。自ら進歩を望まず、少しずつ幸福の下に漸進する文化を持っていた。
ある外部からの侵入者が、探検隊を装って村に侵入した。村人から絶対近づいていけないといわれていた「神宿る原野」に数名が侵入。
その最奥にある祠の中に、煌びやかな水晶があるではござらんか。彼等は歓喜し、莫大な利益が入るとたくらんだ。水晶をばれないようにこっそり持ち出し、側においてあった甘栗様、粗末なものだと言って部下の若いのに食わせてしまった。
間もなく村の祠から神様が消えたと大騒ぎになり、大混乱に陥った。しかし彼等の若いのが口を開けたとき、甘栗様の殻が歯に挟まっていることを見つけた村人が激怒。ここに至って初めて侵入者たちは、本当に価値がある供え物はしなびた甘栗様であると気付かされてしまった。この錯誤が命取りになった。
その他
公開:23/06/08 02:13

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