予感

猫の魂は猫と同じように自由である。
猫以外の生き物の魂は、身体へと宿るとそこから動かない。
だが猫の魂は身体を離れる事がよくある。だから猫には九つの魂が宿っている。
一つは必ず身体に宿っている。これは他の生き物と同じだ。住処であるここを守る為である。
一つはあの世を旅している。猫は生きている間は勿論、死後の事だって考えている。死んだ後のいい住まいを逸早く見つけようとしている。
一つはお気に入りの場所でずっと日向ぼっこをしている。動きたくない場所ってのは必ずある。
一つは気に入った人間についていく事がある。
この人間が猫の魂に気付いた時、それが猫を飼う予感である。
人間は猫を選んでいるつもりだろうが、それは逆だ。猫が人間を選んでいるのだ。
猫に選ばれた人間は幸せだ。猫とずっと一緒にいられるのだから。
猫好きはそんな猫の魂を察知しやすい。だから何も言わずともお互いが猫飼いである事を予感できる。