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ついこの前まで、寒々とした枯れ並木だったのに、枝いっぱいに若葉が茂って緑のトンネルになった。木漏れ日が注ぐ道を味わいながらゆっくり歩いていると、さわわわわぁーっと風が吹いて、湖面に漣が立つように、道に写った葉っぱの影がチラチラ揺れた。5月が好きだ。
葉っぱの影をじーっと見ていると、じっとしているはずなのに、自分の影だけが、反時計回りにぐるっと動いた。私は驚いて影を追う。振り向くと、影は二つになっていた。コートにマフラーという季節外れの恰好の二人。黙ったままじーっと向き合う二人。これ、冬の私たち?!そう思うや、さわわわわぁーっと風が吹いて、二人の影が波打って、今度は時計まわりにぐるっと動いた。影を追って振り向くと、そこには影が一つだけ。自分の影かと確認しようと手をあげてみる。道に写る手の平が楓の葉のようだ。さわわわわぁーっ。若葉の影が揺れている。バイバイ。楓の影も揺れている。
葉っぱの影をじーっと見ていると、じっとしているはずなのに、自分の影だけが、反時計回りにぐるっと動いた。私は驚いて影を追う。振り向くと、影は二つになっていた。コートにマフラーという季節外れの恰好の二人。黙ったままじーっと向き合う二人。これ、冬の私たち?!そう思うや、さわわわわぁーっと風が吹いて、二人の影が波打って、今度は時計まわりにぐるっと動いた。影を追って振り向くと、そこには影が一つだけ。自分の影かと確認しようと手をあげてみる。道に写る手の平が楓の葉のようだ。さわわわわぁーっ。若葉の影が揺れている。バイバイ。楓の影も揺れている。
公開:23/06/08 08:30
初投稿は2020/8/17。
SSGで作品を読んだり書いたり読んでもらえたりするのは幸せです。趣味はほっつき歩き&走り(ながらの妄想)。
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