理想と現実
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自分がおばあちゃんっ子だった自覚がある。
田舎の家の縁側でおじいちゃんがぼーっとしていると、おばあちゃんがお茶とお菓子を持ってくる。そして、二人で庭を眺めながら、一緒にお茶を飲む。
そんな姿に憧れていた。結婚して、いつか、そんな日を迎えられたらいいなと思っていた。笑われそうだから、人には言わないけど。結婚したけど、妻にも内緒だ。
新居は二人の職場に近いマンションにした。
「お茶にしよう」
土曜の午後三時、実和に声をかける。
「今日のお菓子はお祝いでもらった最中にするね」
実和がお皿に最中を並べる。その間に新茶を淹れた。
ベランダに二人で座ってお茶をする。
見えるのは美しい庭ではなく、買ったばかりのブルーベリーの植木鉢二つ。
現実は理想と違う。
「おいしいね」
「うん」
なぜか、理想どおりのような気がした。
田舎の家の縁側でおじいちゃんがぼーっとしていると、おばあちゃんがお茶とお菓子を持ってくる。そして、二人で庭を眺めながら、一緒にお茶を飲む。
そんな姿に憧れていた。結婚して、いつか、そんな日を迎えられたらいいなと思っていた。笑われそうだから、人には言わないけど。結婚したけど、妻にも内緒だ。
新居は二人の職場に近いマンションにした。
「お茶にしよう」
土曜の午後三時、実和に声をかける。
「今日のお菓子はお祝いでもらった最中にするね」
実和がお皿に最中を並べる。その間に新茶を淹れた。
ベランダに二人で座ってお茶をする。
見えるのは美しい庭ではなく、買ったばかりのブルーベリーの植木鉢二つ。
現実は理想と違う。
「おいしいね」
「うん」
なぜか、理想どおりのような気がした。
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公開:23/06/02 18:09
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