チャコちゃん

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夫は発明が趣味で、おかしな機械を作り出しては失敗ばかり。

「できたぞ!お茶たてロボット、チャコちゃん!」
「和服姿が不気味…」
「まぁ見てな」

夫がボタンを押すと、右手から抹茶の粉末、左手からお湯が出て中央の器に注がれた。

「奥ゆかしい動きだろ?わびさびの精神を取り入れてる」

やがてロボットの右手が茶筅に変化し、高速動作を始めた。

「なによ、わびさびもへったくれもない」
「そんなことないよ!ほら、早速さびが…サビ?」

茶色い粉とともに右手から異音。

「しまった!中古のモーター使ったから…」
「煙が出てる!」
「ごめんごめん…これがホントのわび茶だね」
「呑気なこと言ってる場合じゃないわよ!消火!」

・ ・ ・

「ふぅ、なんとか消えた」
「はい、お茶」
「ありがとう…やっぱりキミの淹れたお茶が一番だ」
「そんな言葉でお茶濁してんじゃないわよ」

あー、とんだ誤茶道だったわ。
その他
公開:23/06/02 14:10
更新:23/06/02 14:14
茶まつり 結婚関係なくなっちゃった けど結婚おめでとうございます

makihide00( 鳥取→東京→福岡 )

30代後半になりTwitterを開設し、ふとしたきっかけで54字の物語を書き始め、このたびこちらにもお邪魔させて頂きました。

長い話は不得手です。400字で他愛もない小噺を時々書いていければなぁと思っております。よろしくお願いします。

Twitterのほうでは54字の物語を毎日アップしております。もろもろのくだらない呟きとともに…。
https://twitter.com/makihide00

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