予感

神である私は憂いている。
干ばつによる不作。疫病の蔓延。今は死者こそ出ていないがそれも時間の問題だろう…
この状況を何とかしなければと思うのは神も同じだ。だが、神と人では考え方がまるで違う。
人は神ならば何でも出来ると思っている。願いを叶えて貰うべく、祈りと共に生贄を捧げる。
命を差し出されても私ではこの状況をどうする事も出来ない。神でありながら何と無力な事か…
懊悩する私に生贄の少女は笑いかける。「お嫁に参りました」と。
この少女、不思議な力があって昔から私の姿をその目に捉えていた。
…不思議な力？まさか！？
「お気づきになられました？私は貴方様に嫁ぐ為、この事態を引き起こしました。私を受け入れないとどうなるか…お分かりですよね？」
この少女、只者ではないと予感していたがまさかここまでとは…
「女の子は恋の為なら世界をも破壊するのです」
その言葉が偽りではないと分かるから余計に質が悪い…