予感

「俺、昔は絶対にお前と結婚すると思ってた」
俺の告白に幼馴染の薫は笑った。
「私も。絶対アンタと結婚すると思ってた。でも、そうならなかったね」
俺達は幼馴染でいる期間が長すぎた。
兄妹のような関係が続き、気が付けば別々のパートナーと結ばれ、今に至る。
薫との関係は今も変わらない。俺の妻もカオルを慕い、俺も薫の夫とは親友だ。
結局、俺達は結ばれる運命ではなかったようだ。
「そろそろ時間だな」
俺は席を立つと娘を迎えに行く。

今日、俺の娘は薫の息子と結婚する。まさか、こっちが結ばれる運命にあったとは思いもよらなかった。
「そう？私は優君と結婚するってずっと思っていたよ」と娘。
娘と薫の息子は幼馴染。よく俺と薫みたいな関係にならなかったものだ。
「お父さんとお義母さんの昔話、よく聞かされていたからね」
ニヤリと笑う娘。俺と薫は結ばれる運命ではなかったが、家族になる運命に間違いはなかったようだ。