球体美
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平日休みに行く水族館。それが私の一番好きな場所だった。
館内は閑散としており、人より魚の方が多い。私は少数側の人間として多数側のいる水槽を覗き込む。
水槽の中では人工のライトがキラキラと光を放ち、それを色んな球体が反射させていた。その神秘的な光景に私は一人酔いしれていた。
泳ぎまわる魚達を見つめる。どの魚にも前や後ろはない。それぞれ皆、一つ〝球”であった。
昔は魚も顔や尾っぽを持っていたらしい。それを人間が自然に反し、無理矢理進化させたのだ。自分達の都合によって。
ただ、申し訳ないが私はこの球体型が好きだ。形として整っていて綺麗だから。むしろ自然に産まれたものの方が不整で汚くて嫌だった。
私は自分の顔を手でなぞる。パーツの凹凸がなんだか気持ち悪い物のように感じる。「なんで人間なんかに産まれたんだろ」無意識的に呟く。
水槽の魚達は何も答えてくれなかった。
館内は閑散としており、人より魚の方が多い。私は少数側の人間として多数側のいる水槽を覗き込む。
水槽の中では人工のライトがキラキラと光を放ち、それを色んな球体が反射させていた。その神秘的な光景に私は一人酔いしれていた。
泳ぎまわる魚達を見つめる。どの魚にも前や後ろはない。それぞれ皆、一つ〝球”であった。
昔は魚も顔や尾っぽを持っていたらしい。それを人間が自然に反し、無理矢理進化させたのだ。自分達の都合によって。
ただ、申し訳ないが私はこの球体型が好きだ。形として整っていて綺麗だから。むしろ自然に産まれたものの方が不整で汚くて嫌だった。
私は自分の顔を手でなぞる。パーツの凹凸がなんだか気持ち悪い物のように感じる。「なんで人間なんかに産まれたんだろ」無意識的に呟く。
水槽の魚達は何も答えてくれなかった。
SF
公開:23/06/04 21:15
超ショートショート書いていきます
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