1+1=3

3
2

「先生は絶対間違えてはいけないから、仕方がないんだよ」とメガネをかけた元教師は感慨深く息を吐いた。
彼が小学校の教師をしていたとき、1+1=3と書いた答案に丸を付けてしまった。
だから、彼は1+1=3を証明する必要に迫られたのだ。
数学には虚数というものがある。掛け合わせると-1となる数字で、iと表記される。
実数には存在しない数字が、あるものとして扱われ、しかも数学上重要な地位を占めている。
だから、1+1=3であることが正しい世界もあるはずだと教師は考えた。
彼は教職を投げうち、研究に没頭し、1+1=3であることを前提とした美しい数学理論を作り上げた。数学上の様々な画期的な発見をした。
彼は自分の成果に満足した。
もちろん、それらの理論は全てゴミだった。
SF
公開:23/06/04 19:57

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