茶踏み

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広大な茶畑の隅の隅。そこには大人数人は入れそうな大きさの丸桶があった。桶の底には摘んだばかりの茶葉が敷かれており、お互いがカサカサと身の上を語っているみたいだった。
丸桶のまわりに茶娘衣装を身に纏った生娘が集められる。集まった生娘達は素足で桶の中へ入り茶葉を軽く踏んでいく。それを代わり代わりで生娘達は続ける。茶葉が足をくすぐるのか時々「ひゃあ」という声が漏れ、その度に皆笑いあっていた。
これは【茶踏み】という伝統行事だ。毎年何人かの生娘が集められ、茶葉を踏み少しずつ葉っぱから水分を抜いていくという事をする。これによって出来たお茶っ葉は縁起物とされ、昔から祝い事の贈り物として重宝された。実際踏むことによってより香りが立ち、お茶にして飲むとすごい落ち着くと評判も良い。
だから私はこの茶葉の話ととある言葉を話したことのないあなたへ贈ろうと思う。
御結婚おめでとうございます。と。
ファンタジー
公開:23/06/03 21:30

リマウチ

超ショートショート書いていきます

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