三つの願い

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『三つの願いを叶えてやる』

家に帰るなり、悪魔がそう言った。ぶっちゃけ、何でいるんだとかそんなことを考える頭は働いていない。

『叶えた暁には貴様の魂を「飯」
『…は?』
「飯が食いたい!温かいやつ!もうコンビニの弁当や冷凍食品はごめんだ!」
『あの』
「腹いっぱい食ったら寝る!ぐっすり寝て爽やかな朝を迎えたい!それだけでいい!それさえしてくれりゃ魂でも財産でも何でもくれてやるよチクショォ!」

ブラック企業に就職して早五年。ずっと誰にも言えなかった怒りとも悲しみとも取れない思いを目の前の悪魔にぶつける。
そしてその瞬間、電池が切れたように俺は気を失った。



「…ん?」

目を覚ますと、やけにすっきりしていた。こんな心地で目を覚ましたのはいつぶりだ。
食卓の上には温かい湯気の立つ朝食と、1枚の手紙があった。

『温かい食事、充分な睡眠。残り一つの願いは、まあ、ツケといてやる。頑張れ』
その他
公開:23/05/31 07:38

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