アロマシャツ

俺の隣の席の奴、ちょっと変わっている。
授業ごとにシャツを着替える。シャツを着替えると、そいつから漂ってくるニオイが変わる。
授業ごとに漂ってくるニオイが変わるものだから凄く気になる。
でも、嫌なニオイじゃないんだよなぁ…どのニオイも個性があって俺は好きだ。
だから俺はそのニオイに文句を言う奴を許さなかった。
いじめ？そんなの、俺の目の黒いうちは許さないからな！
そのお礼か、そいつは俺にだけニオイの秘密を教えてくれた。
アロマシャツ。人の記憶はニオイと直結している。
そこで授業ごとにニオイの違うシャツを着て、授業の内容をニオイと一緒に覚えているそうだ。
そういえば、こいつのニオイ嗅いでいると、テストの時も授業の内容をうっすらと思い出せたんだよな…

なんて事を同窓会の今、俺は思い出している。
そいつの名前？勿論覚えているさ。気になる香り、此花薫。
こいつのニオイは俺の初恋をも思い出させた。