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「ねえ、絶対禁煙するって言ったじゃない!」
「ごめん…」

彼のことは大好きだけど。告白されてすっごく嬉しかったけど。
…でもだめ。煙草だけは我慢できない。
憧れのプロポーズも「煙草やめてくれるなら」って条件つきのYESで。ほんとはもっとうるうるでOKしたかったのに。

なのに彼の髪も服も、相変わらずヤニっぽくて。
「結婚やめるよ!いいの!?」
びしりと指を突き付けると、彼はちぇっと舌打ちを洩らした。

翌日、私は目を疑った。
彼が堂々と煙草をくゆらせている。
「里穂も吸う?」
にやりと笑うと新しい煙草をくわえて火をつけ、私の唇にちょんと差し込む。
この香りは…
「…お茶?」
「正解」
聞けば昨晩、お茶っ葉を細かく刻んで煙草のかわりに詰め込んだらしい。
「里穂、お茶好きだもんね。これならいいよね」
立ちのぼる煙で彼がうっすらハートの形を描く。

ああもう、惚れた弱みだ。
茶ラにしてやるか。
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公開:23/05/31 22:34
お茶祭り 2本め 昔、ほんとにやりました 結構いい香りがする(笑)

秋田柴子

2019年11月、SSGの庭師となりました
現在は主にnoteと公募でSS~長編を書いています
留守ばかりですみません

【活動歴】
・東京新聞300文字小説 優秀賞
・『第二回日本おいしい小説大賞』最終候補(小学館)
・note×Panasonic「思い込みが変わったこと」コンテスト 企業賞
・SSマガジン『ベリショーズ』掲載
(Kindle無料配信中)

【近況】
 第31回やまなし文学賞 佳作→ 作品集として書籍化(Amazonにて販売中)
 小布施『本をつくるプロジェクト』優秀賞

【note】
 https://note.com/akishiba_note

【Twitter】
 https://twitter.com/CNecozo

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