愛差異家

私の夫はどんな小さな変化も見逃さない。
例えば、私が前髪を整えたり、シャンプーを変えたり、２キロ痩せただけでもすぐに気付いてくれる。
ほんの些細な変化に気付き、それを褒めてくれる夫。
変化を愛し、毎日差異の発見を楽しむ夫は愛妻家であり、愛差異家だ。

そんな差異に気付く能力は息子にも遺伝している。
これがまた厄介で、料理に息子の苦手なニンジンを刻んで入れようものならすぐに気付かれる。
だが、こんな時に頼りになるのは夫だ。
料理の味付けの差異に気付くと「今日のニンジン、いつもと味付けが違うよ」と息子を説得し始める。
夫の口車に乗せられ、渋々ニンジンを口にした息子。
「…この料理のニンジン。細かく刻んだ事で独特の臭みと食感が消え、他の具材と調和し合っている」とコメンテイターさながらの食レポを始めた。
息子の口上、また上手くなったな…
息子の食レポの差異に気付く私も、今やすっかり愛差異家である。