趣味を数えるのが趣味

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クリーニング屋の娘である彼女が、唐突にぼくにこう告げた。
「私ねえ、趣味を数えるのが趣味なの」
「えっどういうこと?」
「ほらほらいいから、ゆっくりと回転して」
ぼくは回転しながら、趣味を数える。とはいえ、大した趣味はない。映画鑑賞に読書、さらには旅行……とあまりに平凡すぎる趣味にわればがら辟易する。
見栄えもパッとしないし、ファッションセンスもない。いまにも、彼女からつまらない男と言われそうだ。
彼女はため息をついた。
「趣味が4つもあるわ。もっとしっかりして」
「えっ、それは嬉しいなあ。てっきりゼロと言われるかと思ったよ」
「なんで喜んでいるのよ」
彼女は怒りだした。
「私が数えたのは服についたシミよ。カレーにケチャップに油汚れ。この点はソースかしら。大事なデートの日に、よくもこれだけシミを揃えたものよね。クリーニング屋の娘を前にして、どういうつもりなの!」
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公開:23/05/31 15:23

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