夢見る少女

私のクラスには、可愛い子がいる。まさにアイドルって感じ。
でも、その子がなんて言うか、凄い夢見がちな子。
運命の王子様を未だに信じている、ちょっと痛い子。

ある日、その子に聞いたの。
「運命の王子様なんて夢みたいなこと、いつまで言ってるの？」って
するとその子は笑った。

「夢がなきゃ、楽しくないじゃん」

いつか運命の王子様に会う為に可愛くあろうと努力する。
運命の王子様に見合う為に勉強だってするし、炊事洗濯掃除裁縫だって、完璧にする。

「現実だけ見て大人ぶるより、夢見て頑張る方が楽しいもん」

だって。

そういうものか、と私は思った。
少し、羨ましい。私はただ、次の試験とか、受験のことで頭がいっぱいで、夢なんていつの間にか忘れていたから。

「…でも、進路希望調査にまで『運命の王子様に会う』って書くのはやめといたら？」
「あ、やっぱり？」