念写教室

ごく普通のオフィスビルのドアを開け、体験教室優待券を受付に見せると、案内されたのは長テーブルが並ぶ会議室。パイプ椅子に座らされた。他に四、五人の先客。
スーツ姿の中年男性がホワイトボードの前に立つ。
「ようこそ念写教室に」と言う講師に前列の青年が「念写って何ですか？」と質問する。
講師は「文字通り念を写すこと、念は今の心と書きます。現在の皆さんの心を写し出すのが念写です。本来は鍛錬が必要ですが、本日は特殊機器を使って皆さんに念写体験をしてもらいます」
それからヘルメットを頭につけられた。「このヘッドギアで採取した脳波データを画像変換すると皆さんの心を簡単に出力できます。５分間、心のなかで何か強く念じてください」
僕は先日の夜のＭ子を想った。
「OKです。皆さんの念写ができました」講師が紙を一枚ずつ配る。
紙には裸の女性の胸が写っている。確かに僕は想った。だけどこの胸はＭ子よりずっと豊満だ。