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僕は右半身。
左半身はまったくの別人だ。

普段は協調してひとりの人間としてふるまっているから、人にばれることはないだろう。

僕はよく笑う方だが、彼はいつもむすっとしていて
たまに歪んだ笑顔になってしまうことがあるが。

あるとき彼は、僕と入れ替わりたいと言ってきた。
左側は心臓があっていつも大変だかららしい。

本当の理由はたぶん、彼女と手を繋ぐのは僕のほうだからだろう。
たまにはいいかと変わってあげることにした。
彼女と手をつなげて彼も幸せだろう。

しかし、彼はすぐ左側に戻りたいと言ってきた。

「彼女といるときの、心臓の鼓動を感じているときが幸せなんだ」
彼はそう理由を言った。

僕はすぐに承諾した。
彼女といるときの鼓動は、右側にだって届いているんだ。
彼の言っていることには共感できた。

彼女は僕に語りかける。
「この前手握ったとき、いつもと違った気がしたけど気のせいかな」
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公開:23/05/23 23:19

空飛びペンギン( 関東 )

ご覧いただきありがとうございます。

俳優業の傍ら、趣味でショートショートを製作しています。
田丸先生の書籍を読んでから、楽しく作っております。
ご意見、ご感想いただけると嬉しいです。


名作文学の朗読Youtubeを行っています。
http://www.youtube.com/@akky_roudoku

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