座席、倒してもいいですか？

「すみません。座席、倒してもいいですか？」
若者が私に声をかけてきた。
ええ、構いませんよ。
一言も断りなく倒すようなら文句を言った上で座席を元に戻させるが、お願いされるのならやぶさかではない。
「ありがとうございます。それでは、失礼しますね」
若者は座席に踵落としを食らわせる。
突然の行動に呆然とする私。
えっ！？ちょっ！？何！？
「波動拳！波動拳！」
なんか出た！
「竜巻旋風脚！昇竜拳！昇竜拳！！」
１分もかからず、ボロボロになる座席。
…本当に何やってんの！？
「ボーナスステージですよ。ストⅡ、やった事ありませんか？」
やった事あるし、見た事ある。それがこれと何の関係が？
「見て下さい」
スマホを差し出す若者。画面には『ＰＥＲＦＥＣＴ』の文字と２万点のマイレージポイントが追加されたと表示があった。
座席を倒す、ってそういう意味！？
「失敗すると修理代が発生するので、お勧めはしません」