漫画飯

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「お母さん、これ食べたい!」

また始まった。
キラキラした視線を向ける息子の指先は、テレビの中に映し出されたご飯を指していた。

食パンに目玉焼きを乗せただけのシンプルなもの。

ミートボールの入った山盛りパスタを要求されたり、酷い時なんか、井戸の水で冷やしたきゅうりを丸かじりしたいなんて言い出す時もある。
それに比べればマシか…と思いながら、キッチンに向かった。

最初に言い出された時は面倒な、疲れているのに、と思ったけど、私も旦那も仕事をしていて、息子に構ってあげられる時間はあまりない。
そう思うと、仕方ないかと思ってついつい作ってしまう。

それに…

「出来たよ」
「半分こ!お母さん、半分こ!」
「はいはい、半分こしてたもんね」

この子が食べたいと言うものはいつだって、誰かと誰かが食べているものだから。

半熟の目玉焼きを零さないでね、と言って渡しながら、私も一緒に頬ぼった。
その他
公開:23/05/26 07:25

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