銅八先生

銅八先生という女教師がいた。美人ではない。天真爛漫を気取ってはいたが、性格は暗く計算高い。
普段は不美人なのを逆利用して豪傑な男勝りを装っていた。だがAという男子生徒だけは銅八先生の本性に気づいていた。
Aは性格が暗いから私のような明るい元気な先生のことが大好きなのだろうと、銅八は近づいて行った。しかしAはこの人に思いを話したら自分はとても傷つくだろうと、自衛のために黙っていた。
それが銅八のプライドを傷つけた。こんなに一生懸命やっているのにAは心を開いてくれないと、先生たちの前で嘆いてみせた。先生たちは銅八を庇い、先生のせいじゃないですよ。気にしてはダメですよ。こんな健気ないい先生に心を開かないとは、Aはけしからん奴だと心をひとつにした。
その後銅八は陰湿にAをいじめて、Aの人格を歪ませた。銅八は巧みに振る舞い、隣りのクラス担任の男教師と結婚した。
人は自分が幸せになれればいいのだ。