近くて遠い

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私が子供の頃、近所に飴を持ち歩いてるオバサンがいた。
子供を見つけると、色々な飴をくれたのだ。私もその1人。
オバサンは毎日違う種類の飴を持っていて、友達と学校帰りにオバサンを探して貰ったこともある。

懐かしい思い出だ。



その思い出のせいか、私は成人してから飴を持ち歩くようになった。
けれど、10年以上も経てば世間の考え方も変わる。

「えーん……ママァ……」
「どうしたの?迷子かな。泣かないで、一緒にママ探そ?あ、飴食べ……」
「ちょっと!うちの子に何してんの!?」
「………………」

女性は私を怒鳴りつけ、泣いている子の手を引いて行ってしまった。

今は、ネットやSNSで簡単に人と繋がれる。一人一人の距離が近くなったように感じる。でもそれ以上に、距離を感じてしまうこともある。

それが無性に寂しくなって、私は行き場のないいちごミルクの飴を口に放り込んだ。
その他
公開:23/05/17 07:39

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