簡単は、むずかしい

0
2

日本史の教師の岡田さんは、物事をむずかしく考えすぎるクセがある。自分でもそれを気にしていた。
そして、好きなアメをなめていた時、“もっとシンプルな考え方でいこう”と思い立ち、自己暗示をかけることにした。
それ以来、アメをなめてリラックスして、物事を簡単にするクセをつけた。

ある時、彼は高校の授業で使う小テストを作っていて、何気なく、アメを口に入れてしまった。そしてできたのが、次の問題。
『織田信長の、偉い所はどこでしょう』

単純すぎるが、そのまま配ってしまった。
生徒たちは皆、目を丸くした。

ただ面白かったのは、その解答だ。
いろんな解答のなかに、あえてこの質問を本気で考えて、長文の論文を解答用紙に書いたり、ひとひねりした答えをした生徒がいた。
彼らは、「むずかしく考える方が楽しい」と答えたのだ。

岡田先生は、「簡単なことは、むずかしさの裏返しなのかな」と、おかしな気持ちになった。
その他
公開:23/05/21 19:22

tamaonion( 千葉 )

雑貨関連の仕事をしています。こだわりの生活雑貨、インテリア小物やおもしろステーショナリー、和めるガラクタなどが好きです。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容